真空管パワーアンプキットJB300BVer.3の製作その2

 ここからは後半戦、いよいよハンダ付け作業に入ります。

 組み立てマニュアル通りに作業すればいいものをあまのじゃくな私は、結局一度ねじ止めした部品を取り外してハンダ付けを行うはめになりました。
 作業効率の面からは、マニュアル通りに組み立てるべきです。

早朝から音出しまで、丸1日かかりました。

結局「ヒーターブリッジアッセンブリー」を取り外してリード線をハンダ付け後にまた取り付けることになってしまった。
 作業効率が悪くなってしまったが、趣味なので、急ぐ必要はないのだ。
   予め電解コンデンサーもハンダ付けしておくこと。
  もう一組も同様に。
 

 アース線をトッププレートに落とす板ラグφ3ですが、4本の線が集中するためとてもやりにくく、一度トッププレートから取り外して、ハンダ付けを行ってから、トッププレートへビス留めした。

板ラグの穴径がもう少し大きい方がよいと思う。

 

 アース線を配線、ハンダ付けの後にヒーター系の配線(青、灰)をよじってハンダ付けしたところ。

改訂後のマニュアルでは、アース線(黒)を養生テープなどで仮固定すると配線がやりやすいと書いてあった。

 

 配線・部品の取付がほぼ済んだところ。

真空管ソケット周りの配線は細かい作業で、遠視(老眼とも言う)が進んできた私にとって、苦行でした。

真空管ソケットとラグ版の間に抵抗器、コンデンサーをハンダ付けする作業も苦難の連続でした(^_^;)

 ガイドブックにもありますが、特に揃えておくと便利な工具として左から順に

テスター棒の先に取り付けるアダプター
(測定中のショート事故を防げます)

ワイヤーストリッパー
(プロはニッパーでなんて言わずにぜひ揃えて下さい)

スパナー
(綺麗に確実に締め付けるにはコレ!)

 ハンダ付け作業が佳境に入ってくると、写真を撮影するのを忘れてしまい、途中の写真がありません。
反省点としては、

  1. スピーカーターミナルに取り付ける板ラグとRCA入力端子の上下を逆に組み込んでしまい、配線をハンダ付けする段になってようやく気づき、慌てて方向を変えてからハンダ付けした。(マニュアルの絵にはちゃんと描いてあった)
  2. 電源トランスのアースポイントの部分の塗装を剥がしておくのだが、無駄に大きく剥がしてしまった。(ボトムプレートを被せてしまえば見えなくなるが、気分的にorz)
  3. セメント抵抗の抵抗値等が明記されている面を下側にするべき(チェック時に分かり易い)ところを横にしてしまった。(性能上は変わりませんが、後々のことを考慮するならやはり下向きにすべきでした。)
  4. カップリングコンデンサーの足に絶縁のためのチューブ等を被せるべきでしたが、これは後日Jensen製のコンデンサーに交換する予定ですから、その時に被せるつもりです。その時までは、移動の時に激しく揺すってショートしないようにそーっと扱います。(大橋さ~ん、余分目に熱収縮チューブを入れて下さ~い!)→要望(笑)

いよいよ真空管を箱から取り出して検品します。

300Bのこの曲線が見ていて楽しい・・・

12AX7と6BQ5
整流管5AR4ですね~

 
いよいよ最終段階に入ってきました。

はやる心を抑えつつ・・・
真空管を装着前に、ヒューズホルダーにヒューズを入れて(結構これを忘れて、慌てることがありますね)、電源を入れ、煙が出たり電源トランスが大きく唸ったりしないかチェックします。
一応ヒーター電圧をチェックして、一度電源を切ります。

次に5AR4のみ挿さずに電源を入れて、各真空管のヒーター電圧をチェックをします。

そしていよいよ5AR4も挿して、各チェックポイントの電圧をチェックをします。
ちなみに私の場合:

B電源 B1 B2 B3
 測定値 436V 427V 389V 305V
プレート電圧 PL PR PXL PXR PQL PQR
測定値 417V 417V 218V 218V 170V 171V
カソード電圧 KL KR KXL KXR KQL KQR
測定値 67V 67V 2V 2V 7V 7V

 

ここで、 ハムバランサーを調整して、ハム音がほとんど聞こえないように調整完了。

電圧チェックも無事に済んだので、配線をまとめて最後の仕上げです。

インシュロックにより配線を要所で結束します。

手配線初心者につき、配線があまり綺麗でないところは大目に見てやって下さい。

 

最後の仕上げに、銘板を貼り付けてエージング開始!

部屋の明かりを落として記念撮影です。
300Bのグロー放電も妖しく光っています。
銘板の通り「Romantic Glass Amplifier」ですね!!

 実は、アンプをこのラックの上に置いたのですが、そのことがトラブルの原因に・・・

 

 電源を入れて、静かに300Bのグロー放電光を眺めていると、「ブーン」という唸り音に気がつきました。
JB300Bの電源トランスのあたりから聞こえてきます。

真空管手配線アンプ初心者の私は、電源トランスにある程度の唸りがつきものだという知識はありましたが、1年前に組み立てた「TU-879SV」に比べてもかなり気になるレベルだったので、すぐにキット屋さんへ相談のメールをしました。

私からは
「JB300Bの電源トランスの唸り音がTU-879SVに比較しても大きいんです。配線の引き回しやアースの取り方のまずさ等からくるものでしょうか?改善のヒントなどございますか?自分は、TU-879SV以外は半導体アンプしか保有しておらず、唸りのレベルが分かりません。」
というような内容のメールをしました。

キット屋さんからは、夕方に第一報として
「電源トランスはその構造上、交流を流すと振動するものである。配線の引き回し等では、差は出ないはずだ。半導体アンプと真空管アンプは使用する電源トランスのタイプが違う。電源トランスの取付ねじの増し締めで直る場合がある。」
等のアドバイスをもらいました。

ビスはしっかり締めたし、配線のまずさからくるものではないとすると、JB300Bの電源トランス唸り音ってこんなものなのかなあ・・・と諦めかけていたところへ、夜7時過ぎにキット屋店主大橋氏からメールが来ました。

「JB300BVre.3になってからのクレーム履歴を確認したが、トランスの唸りに関することは今回が初めてである。
チェックポイントとして、
1.機構的締め付け強度は大丈夫か?(物理的固定強度不足)
2.一次側同一回路内にスイッチング電源機器が動作しているということはないか?
これまでの経験からトランスの唸りは外来の原因であることが殆どだが、想像で言っていても仕方ないので、どうしても状況が改善しない、或いはJB300B固有の問題であって、原因もアンプ内部にあるに相違ないという場合は一度アンプを預かって現状確認させて欲しい。」
という提案をもらいました。

※注 なお、キット屋さんの名誉のために付け加えておきますが、キット屋さんからのメールは「である」「だ」等の断定調ではなく、とても丁寧なメールでした(^o^)

その夜、原因を究明すべくすぐに色々試しました。
まず、2.の外来雑音かも知れないと言うことで、全く別系統の電源回路の部屋へアンプを持ち運んで、電源を入れてみると、電源トランスに耳を近づけないと分からないくらいの唸り音しか発生しません。

そうか、やはり電源系統への外来雑音かな?ということで、元の部屋へ持って行き、部屋の別コンセントから電源を取ってスイッチON!
すると、やはり電源トランスからは唸り音が「ブーン~~」と発生。
近くの音楽再生用のパソコンのコンセント等を全部抜いて、この部屋ではJB300Bのみ電源を取っている状況にしてもやはり唸り音が「ブーン~~」。

アンプから2~3m離れた通常のリスニング位置では、この唸り音も聞こえないのですが、アンプやプレーヤーの操作のために近づく気になります。(音楽が鳴っていない場合は特に気になります)

では、別の部屋とこの部屋の違いは何なんだろう???
1.の機構的締め付け強度は大丈夫か?(物理的固定強度不足)・・・・・・・・・・

ここで、やっと気づきました。
アンプをラックから持ち上げてみると、唸り音が嘘のように消えました。

そうなんです、このオーディオラックが安物で、天板の中が多分中空のため共振を起こして唸り音を増幅していたようです。
子供の頃、喉に刺さった魚の骨がとれた時のようにスッキリしました。

翌日の夜、キット屋の大橋氏へ私のケアレスミスというか、ナンセンスコールだったことをお詫びするメールを送りました。
すると、すぐに大橋氏から
「メールを拝見致しますと私どもの想定外の原因が潜在していたようですね。適切なご助言を申し上げることが出来ず誠に申し訳ございません。」とのメールが返って来ました。

大橋さん、本当にすみません。
でも、大橋さん、こんな夜遅くまで仕事のやり過ぎです。過労死しないように気をつけて!!!

今後の予定:

  1. JB300Bのゴム足をなんとかすれば、電源トランスの唸りを軽減できるか試したいと思います。
  2. それでもダメならラックの天板を補強するなどして、電源トランスの唸り音を軽減したいと思います。
  3. エージングが済んだら、手持ちの他のアンプと比較してみたいと思います。
  4. その後、カップリングコンデンサーを予め用意してあるJENSEN製に交換して、音がどう変化するか試してみたいと思います。
  5. 真空管を標準でついてきたもの以外のものに交換してみたいと思っています。

 

 これからこのアンプとは長い付き合いになりそうだ・・・・・

 

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